超硬合金について
硬質の金属炭化物の粉末を焼結して作られる合金は超硬合金と呼ばれ、超硬との略称も多く使用されています。
超硬合金は主にWCやタングステン・カーバイドの炭化タングステンと結合剤であるコバルトとを混合して焼結したものです。
しかし、超硬合金の材料特性を使用する目的に沿って向上させる必要があるため、炭化チタンや炭化タンタルなどが添加されることもあります。
超硬合金は高い硬度を誇っていることが特徴で、高温時の硬度低下もほとんどありません。
この特徴を生かして主に耐摩耗性を要求されるドリル、エンドミル、ホブ、フライス、旋盤、ピニオンカッタなどの切削工具や金型の材料として多く用いられています。
特に、超硬合金を使用して作られた切削工具は超硬工具と呼ばれ、主にエンジン部品、トランスミッション部品、ステアリング部品などの自動車部品の金属加工時に多く使用されています。
部品の加工精度の向上や製造コストの低減面でも、超硬工具は高い貢献度があります。
超硬工具はこれだけではなく、シールドマシンの先端に設置して動かすことで、岩盤を砕くためのシールドトンネルを掘る際に重宝します。
道路補修時のアスファルトを取り除いたり、アルミ缶の型やコインのパーツにも多く用いられています。
近年では、更に超硬工具の耐摩擦性を高める為に、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンアルミナイトライド、アルミクロムナイトライドなどをコーティングした物が主流になっています。
超硬合金を材料として使用する際には、高速度鋼などの工具鋼より割れやすいので工具鋼からの代替としては致命的である事、ハイス工具に比べて耐食性が劣るので寿命が短くなりがちである事、コストが高い事といった点に注意する必要があります。
また、1929年に「タンガロイ」という製品を芝浦製作所と東京電気が販売しましたが、これは、日本で初めての超硬合金であると言われています。
その後すぐに、現在の住友電工である住友電線製造所により「イゲタロイ」が、現在の三菱マテリアルである三菱鉱業により「ダイヤチタニット」がそれぞれ開発されています。