コバルト【Co】
コバルト単体は灰白色の硬い金属で見た目は鉄、ニッケルに似た光沢をもち、展延性があります。
塩酸や希硫酸には鉄よりは溶けにくく、希硝酸にはよく溶けますが、濃硝酸には鉄と同様に不動態をつくり溶けません。
カ性アルカリには鉄、ニッケルと同じ様に溶けませんが、アンモニアを含む【空気や酸化剤が共存する】場合には錯塩をつくって溶けます。
鉄より酸化されにくく、酸や塩基にも強いので高速度鋼,耐食鋼,磁性材料などに用いられます。
⇒空気中に長い間放っておいても表面が少し錆びるだけで、たいして変化せず、粉状のものは、空気中で熱すると酸化されます。
また、コバルトという元素は、絵の具の顔料にもなり、その色を【コバルト・ブルー】といいます。
原子番号27。元素記号Co。鉄元素のひとつで、ドイツ神話の地の精【コーボルト】から付けられました。
【用途】
コバルトの単体金属としての用途はほとんどなく、メッキや合金材料として工業的に幅広く使用されています。
メッキ,ガラスや陶磁器の青色着色料,ペンキやワニスの乾燥剤,フィッシャー法による石油合成の触媒などの用途があります。
コバルトの主な合金には、高速度鋼・KS磁石鋼・硬質合金等があります。
⇒硬質合金はコバルトに、クロム・タングステン等の金属を加えたもので非常に硬く、硬質合金のうちウディアはダイヤモンドの様な硬さがあります。
鉄とコバルトの合金は、磁気ヘッドの材料として使われ、リチウムイオン電池の電極材料に、コバルト酸リチウムとして使用されています。
コバルトが使用される分野としては【顔料・絵の具】【シリカゲルの中の青い粒(塩化コバルトは水を吸うと青から赤に変色する)】【合金材料】【鉄鋼材料への添加元素】【磁石材料】【リチウムイオン電池の電極】【ハードディスクの磁気ヘッド】【高速度鋼への添加】【サマリウムコバルト磁石】等があります。
また、ビタミンB12の構成成分になっています。
⇒人間は体内でビタミンB12を作る事が出来ず、食べ物から摂取しなければいけないビタミンで体内で【赤いビタミン】と呼ばれ、葉酸と協力して骨髄で赤血球の生成に関わっています。その為ビタミンB12が不足すると悪性貧血を起こします。