金属のヘビー級チャンピオン「タングステン」のヒミツ
タングステンというのは元素記号Wの金属で、いわゆるレアメタルと呼ばれる希少金属のひとつでもあります。
名前の由来は「重い石」という意味で語源はスウェーデン語です。
この金属の特徴として、まず熱に強いということがあげられます。
3380℃という金属のなかでは一番高い融点をもちます。
そして次に非常に硬いという特徴を持っており、モース硬度と呼ばれる硬さの指数でいうとダイヤモンドの「10」に次いで硬い「硬度9」にランクされます。
そして、名前の由来にもあるようにとても重い金属です。
比重は金と同じで、鉄と比べると2.5倍もの重さを持ちます。
タングステンが採掘されるのはユーラシア大陸がほとんどで、全産出量のおよそ8割を中国が占めています。
他にはロシアやカナダなどの国からも産出されますが、わが日本列島では全く採れないので需要のすべてを輸入に頼っているというのが現状です。
それではタングステンはどのような製品に使われているのか紹介します。
まずは最大の特徴である硬さをいかして切削工具や刃物に使用されたり、硬さと重さが必要な砲弾などにも使われます。
対戦車用の徹甲弾や猟銃に使われる散弾にも使われています。
またタングステンは金属ですが、他の金属に比べて大きな電気抵抗を持っているのも大きな特徴のひとつです、その性質を利用してプラズマアーク溶接の溶接棒や電球のフィラメント、電子ビームの発生源としても使われています。
これだけを見ると、この金属はわたしたちの生活にはあまり関係がないようにも感じますが、実は意外にもわたしたちの身の回りにこの金属を使ったモノが数えきれないほど多く存在します。
例えば家の明かりとなる電球もそうですし、スマホやパソコン、プリンターにもなくてはならない材料のひとつといわれています。
意外なところでいうとトランペットやフルートなどの金管楽器にもタングステンが材料に使われているものが多いです。