【構造用鋼】
構造用鋼とは特殊鋼の一種であり、強度や靭性(じんせい)を強化した鋼のことを指します。
◇機械構造用鋼とは、機械の機能的かつ強度を必要とする部品に使用する鋼のことであり、炭素、ニッケル、クロム、モリブデン、マンガンなどの元素を単独または複合にして含有し、強度、靱性、耐疲労性、焼入性などに優れた特性をもつ特殊鋼であり、車両や建築機械、産業機械、船舶、橋梁などの重要な部品の素材として広く用いられています。
◆【用途】
機械部品、建築物、橋梁、船舶、車両など広く用いられます。
◆ 【種類】
鋼種としてはS35C、S45C、S55C、SMn443、SMnC443、SCr440、SCM440、SNCM439、SNC631などがあります。
1).SC材:普通炭素鋼と呼ばれる。炭素量が0.1~0.5%含まれています。
2).クロム鋼:SC材にクロム(Cr)を少量(0.9~1.2%)添加しクロム鋼を形成します。
3).SCM材:SC材にCr (0.9~1.2%)とMo(0.15~0.45%)を添加しクロム・モリブデン鋼を形成します。
4).SNCM材:さらに強靱(きょうじん)さを上げるためにNiを少量(0.4~4.5%)加えニッケル・クロム・モリブデン鋼を形成します。
※これらは肌焼鋼(はだやきこう)と言われ、主な合金元素はクロム(Cr)、モリブデン(Mo),ニッケル(Ni)となります。
◆【特徴】
機械構造用合金鋼は、0.1~0.5%の炭素に種々の合金元素を適量添加したものです。これら合金元素の添加は鋼の性質に大きな影響を与えます。
1).炭素(C)量が多いほど硬い鋼ができます。
2).少量の炭素(C)にクロム(Cr)やモリブデン(Mo)を添加すると引張強さが強化されます。
3).少量の炭素(C)に、ニッケル(Ni)やマンガン(Mn)を加えると靭性(じんせい)が強化されます。
4).炭素(C)少量にCr、Mo及びNiすべてを加えると引張強さと靭性両方が強化されます。
5).大型部品で内部強度まで必要なときはMn、Cr、Moなどを多量含有する鋼種を選びます。
※以上のように添加される元素や量によって鋼の引張強さ、強度、靭性(じんせい)などの特性が変わってきます。