真鍮について
真鍮は黄銅とも呼ばれ、亜鉛Znと銅Cuの合金のことを言い、とくに亜鉛の割合が20%以上のものを指します。
適度な展延性と強度を持ち、加工しやすく扱いやすい合金として350年ほど前から世界中で広く使われるようになりました。
しかし、亜鉛の沸点は900℃と比較的低温で蒸発しやすく、高い精練技術がないと作れなかったため、それ以前は青銅などが主流でした。
銅65%と亜鉛35%の真鍮が最も一般的で、その割合によって性質も変わってきます。
亜鉛の割合が低いほど赤みを帯び、柔らかく展延性が高くなる一方、割合が高くなるほど色が薄くなり、硬度が増して脆くなるのが特徴です。
そのため、亜鉛の割合が高すぎると脆くなり過ぎて使い物にならず、45%以下が目安となっています。
扱いやすく加工しやすい特性と比較的安価なことから、真鍮は身近なあらゆるものに使われています。
切削加工がしやすいため時計などの精密部品や、水道やガス管などの精密加工性を要する部品に用いられる他、熱間鍛造性にも優れており、複雑な形状のものを鍛造するのも容易です。
他にも、電気伝導性が他の合金よりも優れているため、電気製品の部品にも広く使われていますし、熱伝導性も優れていることからエアコンなどの熱交換器にもよく利用されています。
また、展延性に富んだ性質を活かしてホックやファスナーなどの展延加工する部品にもよく使われていますし、高度な二次加工性もあるためネジなどの素材としても最適です。
メッキやはんだ付けしやすいという特徴もあり、台所やトイレなど水回りの部品に広く用いられています。
さらに、磁性を帯びないという特性もあり、電気計器などの部品製造には欠かせません。
審美性の面でも金に似た光沢をもつことから、古くから金の代用品としても使われてきました。
貧者の金とも呼ばれ、仏具や五円硬貨として用いられています。
金色の塗料にも真鍮の微粉末がよく使われますが、時間が経つと黒く変色しやすく、ラテックス類や生ゴムなどの成分と反応して分解腐食してしまう欠点も持ち合わせており、特性を理解して扱うことが求められます。