[デンスバーの定義]
デンスバーとは鋳鉄の一種でありながら、一般の鋳物(いもの)と比べ巣の発生が非常に少なく組織がきわめて緻密であり、砂型鋳物特有の欠陥がないのが特徴です。英語ではDense Barと表記し、密度が高い 棒材として名付けられています。形状においては丸棒や角材があります。一般的に使う鋳物と同じくFCやFCDの記号で表記されます。
FCDはダクタイル鋳鉄【球場黒鉛鋳鉄】の略語表記記号です。すなわち鉄(Ferrum)、鋳物(Casting)、強靭(Ductile)の英語頭文字を取ってFCDと略記したものです。
高温での寸法変化が少なく、加工による変形も少ないため、金型や公差要求が厳しいギヤ・バルブ・軸受け・ブッシュ等の部品製作に良く使われます。また一般の鋳物と比べ鋳巣がきわめて少ないのがもう一つの大きな特徴です。
[用途]
油圧・空圧のバルブ、ピストン、ロッドカバーやマニホールド等に使われています。
また、産業機械や自動車部品として軸受け、安全ピン、ブッシュ、フランジ、カップリング、ベアリングケース、ギヤ等にも使われています。その他にも、電気機器や船舶及び飛行機関係の部品としても使用される等、幅広い分野で使われております。
[材質・成分]
C カーボン(炭素、黒鉛)→多いほど柔らかくなる。
Si シリコン →黒鉛化を助長する。
Mn マンガン →黒鉛組織を微細化する。
P リン →多いと鋳物が硬くなる。
S 硫黄 → 多いとチル化しやすい。
[種類]
1)Eタイプ(共晶状黒鉛鋳鉄):[特徴]外側から内部までの共晶状黒鉛が均一に分布されるため、切削抵抗が少なく加工性が非常に良いです。
2)Gタイプ(ねずみ鋳鉄):[特徴]外周部は共晶状黒鉛組織を表しているが、中心部は片状黒鉛組織となっています。そのため硬度が不均一になります。
3)Dタイプ(球場黒鉛鋳鉄):[特徴]前面に均一な球場黒鉛が分布されます。高級部品用材料に用いられます。
4)NDタイプ(ニジレスト球状黒鉛鋳鉄):[特徴]非磁性であり、耐食性、耐低温、耐熱性、耐摩耗性等に優れている。